Regreen

Language

茅葺きについて

茅、茅葺きには、人類の根源、宇宙や地球の本質、それとともに生きてきた先人の智慧が詰まっています。Regreenでは、それを現代的な視点も含めながら再評価し、現代の建築、都市、地域環境、ランドスケープ、国土計画のデザインに生かしていきます。

ここでは、東京大学大学院での研究をもとに、日本や世界の茅葺き、茅、茅葺きの現代に応用できる点などについて紹介しています。

 

茅葺きの本質は、数千年の間、自然と共生してきた先人の智慧がつまった総合文化であり、あらゆるいのち、自然、人、精神性、文化、あらゆる循環あるものの営みの総合体であり、その土地で、その時代その時代でアップデートされてきた伝統的な固有の生活文化を支える環境そのものであると言えます。茅葺屋根や茅場だけでなく、材料をつくり、人々の営みを支える山も、森も、川も、海も、空も、田んぼも畑も、人々の生業も、地域経済も、ありとあらゆるものが含まれ、先人は何百年、何千年とかけ、自然と調和した社会をつくってきました。それは建築や集落、都市だけでなく、日本の多くの伝統文化にも観ることができます。その精神性は、天皇家から一般まで、老若男女や階層に問わず共有され、大嘗宮、伊勢神宮をはじめ、全国各地の神社仏閣、茶室、民家などがつくられてきました。

また、世界中に人類共通の原初的な住まいとして世界各地にあり、国籍や信条、哲学、アイデンティティの違いなどを超えるものでもあると言えます。

現在、戦争と平和、気候変動、環境問題、感染症、地域課題など、国や世界は多くの不安要素、不協和音を抱えているが、茅葺きとそれにまつわる伝統智を科学的に再評価、現代に応用し、これからの時代に応用できるモデル開発、デザインをしていくことで、諸問題を解消し、楽しく、豊かな社会づくり、国づくり、世界づくりにつなげることができると考えています。

Regreenでは、それらを建築、都市、ランドスケープ、国土計画、環境デザイン、仕組みづくりのフィールドでソフト・ハード両面で行っていきます。


茅葺きの特徴

建築、風景として
・伝統的な原風景、癒しの風景(世界各地にある人類の住まいの原型の一つ)
・昆虫、鳥、植物(苔、木、草)など、あらゆる生きものを育む森のような屋根
・雨風、電磁波、日差しなど様々なものから人を守るシェルター
・民家としてだけでなく、神社や寺院、日本で最も重要な儀式とされる大嘗祭にも使われる
・母胎の中にいるような安心感のある空間(うす暗い、雨でも閑か、あたたかみがある、自然のにおい・・・)
・環境変化に柔軟に対応できる
・解体、移築、転用、増築、減築が自由にできる
・地震、台風の力を逃がし、柔らかく耐えられる構造
・数百年の寿命
・地域資源を活用し、最終的に土に還る建築
・火を焚く本質的な人の暮らしのあり方(囲炉裏、かまど)
・夏涼しく、冬暖かい(茅は断熱性能が高い。冬寒いのは壁、床からの隙間風の影響。壁、床の断熱をしっかり行えば冬も快適な建築になる)
・家の中で発酵食品がよくできる
・断熱材としての利用(茅は現代建築で使われる化学的な断熱材と同等クラスの断熱性能をもち、福島の復興住宅でも使われた)

人の健康につながるもの

・熟睡できる(京都府美山での老若男女30組50人以上による実証試験の結果)
・多様な自然由来の微生物と共生し、免疫力を上げ、病原性の微生物の繁殖を防ぎ、コロナウィルスなどの疫病にもかかりにくい建築のあり方(京都大学、広島大学、北海道酪農学園大学、世界中の研究機関の結果の総合的な知見の集約による)
・茅から検出される菌の中で、免疫力を上げる菌が全体の約1/4(京都大学の研究結果)
・茅刈り、茅を葺く作業からは高周波が出る(可聴域である2万Hz以上の音で、人の免疫を上げ、ストレスを下げ、人間本来の感性を活性化させる効果がある)
・囲炉裏の木酢液の滅菌・殺菌・高寿命化効果(京都大学名誉教授の研究結果による)
・高齢まで元気に生き、大きな病気をせずに天寿を全うする人が多い(実際に茅葺屋根に住んでいる人、茅葺き職人などの数十人の証言による)


循環、環境、生態系への貢献

・屋根材としてはもちろん、内装材、外装材、家具、プロダクトなどに使え、炭素固定に貢献、最終的には肥料にでき、自然に還る最高の循環素材
・古茅はカブトムシの巣(京都府京北での実証試験で屋根の葺き替えで降ろされた古茅から100匹ほどのカブトムシが生まれた)になる
・お米を育てれば稲藁が採れ、茅束を締める縄、わら細工、しめ縄、土壁など多くの副産物利用につながる
・土壌改良、地下水、湖、川、空気の浄化など、環境再生装置としての働き
・茅の二酸化炭素吸収量は森林の約1.8倍(茅は高温乾燥の環境でも光合成を活発化させより多くの二酸化炭素を吸収し酸素を排出してくれるC4植物に分類される。一般的な木、草花などの植物はC3植物で高温乾燥の環境では光合成よりも呼吸が優位になるため、森と草原、バランスよく計画することが重要)
・水源涵養(草原の水源涵養力は杉林よりも高い)
・土壌炭素蓄積(草原の土壌炭素蓄積量は杉林よりも高く、野焼きによる二酸化炭素発生量よりも土壌炭素固定量の方が圧倒的に高い)
・茅場は、小動物、大型哺乳類、昆虫、草花(秋の七草も)など、森林よりも豊かな生態系を育む
・森、茅場は、森から海までの自然の循環をつくり、土砂災害防止、獣害防止に貢献
・茅は多年草で一年に一回、ほとんど手をかけなくても収穫でき、生産性が高い
・欧米では茅を使ったバイオマスエネルギーが実証されている
・穢れを払う(京都の祇園祭、茅の輪)

海外の茅葺屋根(古民家、現代茅葺建築)


茅葺屋根は日本だけでなく、世界中に古来から存在します。それはその地域で採れる材料で屋根を葺くということであり、たとえば、東南アジアやポリネシアではヤシの葉、バナナの葉など、ヨーロッパでは小麦ワラやヨシなどで屋根を葺いてきました。また、オランダでは水車の壁に茅葺きが使われてきた歴史があり、今も屋根だけでなく、壁や内装など現代建築の新しい茅葺きの形が提案され続けています。造形的に自由につくれるということもあり、ヨーロッパでは茅葺きの新しい可能性が模索され、集合住宅や一般住宅の屋根、壁など、茅葺きは建築をつくる際の選択肢になっており、一大産業にもなっています。

イギリスの古民家(資産価値数億円)
ポリネシアのリゾートコテージ
ドイツの古民家(築350年)
デンマークのコミュニティ施設
オランダの消防署オランダの住宅 
オランダの住宅
オランダの野生動物観察所
ハーバード大学の森俊子教授によるアフリカの茅葺き建築

国内の現代の茅葺きの利用

美容室(日本)
神社(日本)
サイクリングセンター(日本)
民家(日本)
農家レストラン(日本)
店舗(日本)


伝統的な建築、都市と現代の建築、都市について


鉄、ガラス、コンクリート、化学的な材料を用いた現代建築は安価で、短期間ででき、自由なデザインの建築ができ、様々な機能性をもたせ、巨大な建築から小さな建築まで建築の可能性を大きく変えました。しかし、伝統建築には現代建築にはない、今後の自然と共生し、持続可能で健康的な環境をつくることができます。

Regreenでは、日本における伝統的な建築や都市がもつ現代における可能性について研究してきました。

藤原京(694年~710年)
藤原京は、白村江の戦(663年)の後に、日本が対外的に独立した国家であるということを示すために唐の都に倣いつくられた古代日本初の都城制、条坊制の巨大都市でした。後の平城京、平安京を凌ぐほどの規模でしたが、その土地の傾斜や立地条件の問題によって衛生環境が悪化し、疫病が流行り、藤原不比等によって平城京建設が定められました。しかし、藤原京造営前の時代に天皇の代が変わるたびに都を変えていたため、奈良盆地には新都建設のための木材は残っておらず、山は禿山になっていました。そのため、藤原京造営時の木材は、現在の滋賀県田上山から4本の川と陸送を使ってやっとの思いで運ばれました。平城京造営のためにも木材が残っていなかったこともあり、藤原京のほとんど全ての建築物は解体、移築され、平城京に使われました。人による森林破壊、環境破壊、疫病、戦争と平和など、多くのことが現代と重なる時代につくられた都でしたが、現代の都市を構成するコンクリート建築は一つも他の都市に移築することはできないということを考えると、1300年前の都、建築のあり方は逆に最先端なあり方だと言えます。

現代都市の建築のあり方
・遠くでどのように採掘、生産されているか分からない人工的な材料でつくられた建築で構成。多くの場合、自然破壊につながる

・多大なエネルギーをかけ、生産地から建設現場に運搬される
・市民の目に入らないように覆いをかけられ、大音量の騒音を出す機械によって、多大なエネルギーをかけてつくられるが、寿命は数十年からもっても100年前後
・移築は基本的に考えられていない
・多大なエネルギーをかけて解体される
・自然に還らず、クローズドな循環あるいは廃棄物として処理され、場合によっては自然を破壊して終わる

伝統的な建築・都市のあり方
・周辺で大切に育てられた自然の材料でつくられた建築で構成

・材料を育てる過程で、他の木々、草花、昆虫、鳥、哺乳類、爬虫類など、多くのいのちを育て、森から川、海まで大きな自然の循環をつくり、食や資源など人の恵みにも還ってくる
・エネルギーをあまりかけずに人の手でつくられるものが多い
・寿命は数百年~千年以上
・解体、移築、転用、増築、減築ができる
・最終的に肥料または燃料(薪)になり自然にプラスに働いて自然に還る

 

微生物と共生する建築都市

現代の都市は鉄、コンクリート、ガラス、化学製品など人工的に加工された材料でつくられているものが多くあります。
一方で、伝統的な建築は木、土、茅など、基本的に自然素材、または襖、障子などのように自然素材を加工したものでつくられています。
新型コロナウイルスは空気中で数時間、固形物の表面で2 ~ 3 日生存可能だとする研究結果を、米疾病対策センター(CDC)とカリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)およびプリンストン大学(Princeton University)の研究チームが発表しました【2020 年3 月20 日 AFP】。一方、多種多様な微生物が存在する土壌の中ではウィルスは敵が多く長い時間は生存できないと言われます(「表土とウィルス」 ソニーコンピューターサイエンス研究所 リサーチャー 船橋真俊)。


人体には数百兆個の細菌が常在しており、その約9 割は腸内にあり、人の免疫システムの約7 割は腸内細菌によると言われます。また、腸内細菌は人間の精神、肉体をコントロールしているとも言われ、幼少時代にどのような環境で育ったかは、アレルギーやアトピー性皮膚炎、基礎疾患のなりやすさ、健康寿命にも影響を与える可能性があります。自然素材を多用し、あらゆる微生物環境と共存共栄することが人間にとっても地球上で生きていくには重要なことであると言えます。新型コロナウィルスをきっかけに、古来からの建築とその集積である都市環境のあり方を見直す機会になるのではないでしょうか。

腸内細菌の影響
・免疫力を上げる
・成人病予防(肥満、糖尿病など)
・精神、情動行動
・脳活動、学習機能の向上など

疫病と建築の変遷の可能性
天平時代、平安時代の天然痘などの疫病が建築に与えた影響として以下が考えられます。
・竪穴式住居から壁、戸があり、囲炉裏で火を焚き外気を導入し24 時間換気を採れる形に
・大きな換気口(破風)ができる
・囲炉裏の火によって飛沫は滅菌、殺菌され、上昇気流によって外に出される。エピデミックからエンデミックに変遷していき、だんだんとその文化変容の原因や理由が分からなくなっていってしまった可能性がある


高周波

人間の可聴域(耳がいい人でも2 万Hz 前後まで)を超える音域を高周波と呼び、人間はその音域を耳ではなく、皮膚にある受容体(センサー)を通じて受容しています。その音域を浴びることによって、免疫力の向上、ストレスの低減に効果があり、美しいものをより美しく感じるという感性を育てる効果があることが国際科学振興財団・情報環境研究所所長の大橋力氏、国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター 神経研究所の本田学氏などによって明らかにされており、精神疾患の改善にも可能性があります。

収音器(スウェーデン製)
身近なデバイスで測定可能
用水路(約10 万Hz)
枯草を蹴る音(約14 万Hz)
茅刈り風景
美山、京北での調査で最大数値である18 万Hz 以上を記録

伝統的な建築、都市づくりは、針葉樹と広葉樹をバランスよく植え、混交林とすることで、動物が広葉樹の実を食べ、排泄物を微生物が分解し、腐葉土ができ、その豊かな土壌に雨が降り、養分豊富な地下水となり次第に川へ流れ、最終的に海まで到達し、植物プランクトン、動物プランクトンを育て、魚やアワビ、カキがよく育ち、人間の営みに還ってきます。森で育った大径木は建築用材として、最後まで大切に扱われる。その森の中では、昆虫、動物、川のせせらぎ、風によって木々や葉がこすれる音など、人間の耳に聴こえる音域だけでなく、耳では聴こえないが確かに存在する高周波のオーケストラのような環境になっています。

約1 万年前の農耕革命によって平地に移るまで、私たちの祖先は哺乳類の仲間であった太古の昔から森の中で生活し、その環境情報がベースであり、その環境が最適な環境として遺伝子にその情報を刻んできたと言えます。そのため、現代でも森の中に入ると、清々しく心地よく感じるのはその遺伝子がそのような環境下で進化してきたからであり、遺伝子や細胞、脳、諸器官が活性化されるからかもしれません。

それと比べると、現代の都市環境は高周波の発生源があまりにも少なく、機械に囲まれた日常生活、都市環境、建設現場などでも不快感を与える騒音が目立ちます。伝統的な農具(鎌すき、鍬、脱穀機、唐臼、etc)や建築用具(のこぎり、かんな、のみ、etc)、楽器(尺八、オーボエ、etc)などは高周波を出していることがRegreenの調査で明らかになっています。

現代生活がストレス社会であり、新型コロナウィルスなどの感染症、新種の病気が多く、いまだに問題なのは都市環境に免疫力を上げる環境情報が昔と比べ、圧倒的に少なくなってしまったことであると言えます。

高周波の研究、応用については、2022年に静岡県御殿場市にて、イギリスBBCラジオに取材され、茅葺屋根の葺き替え(秩父宮別邸)作業、茅刈りから高周波が出ていること、そのことを障がい者福祉施設の建築、ランドスケープの設計に応用し、人の精神、肉体の健康を暮らしながら、茅を使ってものづくりの作業をしながら健康になれるような設計をしていることを説明しました。この計画では、その他にも微生物環境の研究の応用、茅を使った製品づくりと販売による障がい者の経済的自律を目指した暮らし、森から海までの自然の循環、地域コミュニティづくり、地域雇用づくりについてもコンセプトにしています。

健康をつくり出す茅葺きの微生物環境

イネ科の植物である稲藁からは納豆菌が出ており、納豆菌は免疫力を上げてくれます。同じようにイネ科の植物である茅からも納豆菌をはじめ免疫力を上げる菌が全体の1/4ほど含まれていることが明らかになりました(京都大学の研究)。

茅葺屋根に住む住民は屋根裏で茅から出ている菌を呼吸とともに接種、また、下ろした古茅を肥料として用いている家では作物に茅や住人からの菌が入り込み、作物を食べることでその菌をまた接種している可能性があります(茅葺屋根の住人による証言では、茅を肥料とした作物はその育てた人の体質にあうような作物になるという)。

茅葺屋根に住む高齢者は一般的なハウスメーカーやコンクリートのマンションで暮らす高齢者よりも寿命が長く元気な人が多い(茅葺職人による証言、茅葺屋根に住む住民を対象とした調査による)ということが見受けられます。また、アレルギー、アトピー性皮膚炎をもっている人はこれまでRegreenの調査で茅葺屋根に住んでいる百人以上に聴いてきましたが、現在のところ確認されていません。

京都大学、広島大学、北海道酪農学園大学との研究では、茅葺き古民家の中の微生物環境は、家の内側と外側でほとんど同じであり、病原性の菌は発見されなかったことが明らかになりました。コンクリートや化学的な材料でつくられた現代の住宅や建築では、その内側は人間由来の微生物が多く、外側は自然由来の微生物が多く存在しております。また、水廻りを中心として病原性の菌が繁殖しており、家の中にいることによって感染症や病気にかかるリスクがあります。

このように、茅葺屋根は病気になりにくく、免疫力を上げる可能性のある建築のあり方であると最新の研究によって明らかにされ始めています。

伝統的な建築、都市の現代利用の可能性

茅葺きを含む伝統的な建築、都市環境によって、感染症対策、地球温暖化対策、寒冷化対策、極端気象への対応、自然の循環再生、環境再生、人の精神的・肉体的な健康の増進、健康な出産育児環境づくり、電磁波から守る、アレルギーのない健康な身体づくり、宇宙建築の内装材での利用、高効率なバイオマスエネルギー、最後に自然に還る建材・素材づくり、美しい地域文化と景観づくり、人と人の豊かな関係性づくり、地域経済・国の経済・世界経済活発化などに対する貢献が考えられます。しかし、古民家をそのまま踏襲するには、ライフスタイルや社会環境が昔と今では大きく変容し、人々の求める住環境も変化している中で、住まい方や断熱性能など住環境などの面で大きな課題点もあります。現代に求められている住環境を叶えられるような改修方法、新築の設計が必要であると考えられます。

また、他のアプローチで茅葺きの現代への応用を考えることもできます。たとえば、現代の都市の多くを占めているコンクリートの現代建築の外壁やガラスに苫を被せると、それによって、日射遮蔽がされ、断熱性能も高まり、冷暖房のエネルギー消費量が減ることにつながります。また、コンクリートや仕上げ材、ガラスの劣化も防ぐことができます。苫は数年で更新され、田畑の肥料にできるなどの循環性をつくることもできます。その材料となる茅は、その地域周辺の茅場、茅が生えている場所からの調達、または、その地域内に茅場を水辺や遊び場とともに、地域住民が日常的に憩える公園として提案することも考えられます。

伝統的な苫
民家の瓦を苫で覆った実験

茅を用いた高性能新建材の可能性

また、耐久性、防水性、防火性に優れ、廃棄後に肥料になる素材の開発も考えられます。現在使われている多くの建築材料は、化学的な材料が多く、人体への悪影響を与える可能性もあり、再利用がほとんどされず、廃棄後に自然に還らないものがほとんどです。建設行為は多くの場合、自然破壊、資源とエネルギーの大量消費を意味します。真に持続可能な社会をつくるためには、世界で消費されるエネルギーの約半分を占め、最も大量な材料を必要とし、最も大きな廃棄物をつくり出す建築・建設業界を改善することが必要で、その材料を地球環境に負荷の少ないものにする革新が必要と考えられます。茅を乾燥させ、粉末状にすると繊維状のものが出てきます。茅にはケイ素が多く含まれおり、茅の環境面、健康面への特性を保持しながら、廃棄後に肥料または土に還り、建築の室内環境の快適性を高める新しい素材を茅でつくることができれば、その社会的、経済的なインパクトは大きいのではないでしょうか。

想定する用途
建築物の外壁・内装材・屋根材、ガラスの代替品、膜素材、衣類、リネンなど

関連記事