その地域の自然環境、森、里、川、都、海までのつながり、生態系、地域資源、人々の営み、物流、地域間交流、文化、歴史、精神性、政治、経済活動などによって、総合的に持続的に醸成されてきた地域の環境を「地域文化環境」として定義し、その顕れの象徴として茅葺きとそれらの関係性、それが今後の持続可能な社会づくりに対する可能性についての研究を行いました。
研究対象地は、京都の里山である京北の山国地域で、古代から国づくりを支えてきた人たちが多く住み、8世紀後半からは平安京造営、日本の国づくり、天皇家の暮らし、都の人々の暮らしに大きく貢献してきた地域で、今でも茅葺屋根や茅場が残り、伝統的な暮らしを続けている方もおります。その中で、茅葺きの家に約1年、その後、トタン屋根に約1年実際に住んで、20世紀前半から現代までの地域の自然環境(森里川など)、人々の営み、茅場などの変遷とその要因を建築スケールと地域スケールでまとめました。また、近年、京北地域で行われている持続可能なまちづくりと地域住民との関係性についてまとめ、持続的な地域環境形成の可能性について論じております。
その土地本来の環境には、長い年月をかけて、愛着をもって、自然と共生しながら醸成させてきた精神性や文化、営み、技術が込められています。この研究では、生活者でありながら、外からの視点によって、その本来の価値を可視化、言語化することに成功し、本研究の結果、様々な関係性の中でつくられてきた茅葺屋根に新たな価値を見出し、進化させることで、逆説的に持続的な地域環境をつくることができることが明らかになりました。
東京大学大学院工学系研究科建築学専攻提出論文
日本語タイトル「山国地域の茅葺きにみる持続的地域環境形成の可能性」
英語タイトル「The Possibilities of Sustainable Landscape Observed through the Thatched Roofing in Yamaguni Region, Kyoto」
梗概
https://drive.google.com/file/d/1uMz68PWp5p3l0Zm5Bch5Yl13pxmFpYXR/view?usp=sharing
明治大学建築学科での講義
さらに詳しい内容についてはお気軽にお問合せください。