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Environment regeneration: example case for a temple in Yokosuka

環境再生活動

場所:横須賀 浄楽寺

作業日程:2021年4月30日から5月2日

浄楽寺の状況概要

檀家も池があるとは知らないくらい、池のまわりには木が繁茂していた。傾斜地近くにある池はもともと森からの水を涵養し、集落に流すためにつくられていた。微生物を培養して田畑に流し、土中には水脈や空気の流れがあり、気持ちのいい場所につくられていることが多く、それを管理するのが神社やお寺の仕事の一つでもあった。しかし、逆にひとたび滞りができれば環境悪化するのは早く、その影響はもともと周辺に広がっていたように、悪化した環境も周辺に影響を与えてしまう。

浄楽寺ではこの池を防火用水としても使っていた。水もきれいで、40年ほど前までは子どもたちも水遊びをしていた。それが40年ほど前から使われなくなり、だんだんと木が生い茂り、泥がたまり、池はヘドロの塊になり、腐敗した臭いがするようになり、人はますます近づかなくなった。

目的

そこを環境再生して、再び、地域住民みんなの憩いの場にすること

変化

約2週間かけて環境再生が行われ、水の流れがよくなり、池周辺の森に光と風が通るようになり、遊歩道もでき、草花も咲き、樹木も若々しく、清々しく心地のいい空間になった。小鳥が楽しそうに気持ちよさそうにたくさん鳴いているのが何よりの証拠。ホトトギス、3種類くらいの小鳥が気持ちのいい鳴き声で鳴いていた。

施工前
施工後

施主の感想(浄楽寺住職)

これぞ環境再生。こんなにも変わるとは想像していなかった。

作業内容

2021年4月30日

・竹串つくり

根上りした根を土に定着させるためや目印に使う。

  1. ナタで竹を2~3cm幅くらいに割る
  2. 先を鋏で整える
竹串づくり
竹串

・池からの排水パイプを通す溝作り

  1. 排水パイプを通すところをコテでゆるやかな曲線を描くように深さ約5cmの溝を削るように掘っていく。掘ることでその場がよくなるように。断面的に凸凹になるように。直線的に水が走らないように。自然界には直線はない。斜めに削っていくようなイメージ。後で埋め戻しやすいように。
    • 溝の上に炭、土、チップ、または炭、落ち葉を敷き詰める

    (雨風に倣い、台風が来て、行ったり来たり舞った感じに。渦の力をイメージ。人間の手で何をしたか分からないくらいの自然な感じに)

溝堀り
溝に炭、土、チップ、落ち葉などを敷き詰める

・池の再生

  1. 水を抜く
  2. 泥を島にする
  3. 池の中に異なる植生をつくる
池の中に泥で島をつくる
池の中に泥で島をつくる

・遊歩道

今まで近寄れなかった池が住民の憩いの場に再生する

2021年5月1日

・電気ケーブルの溝

  1. 幅50mm、深さ50mmほどの溝を掘る
  2. 燻炭を入れる

・道路の際の通気浸透水脈づくり

  1. 幅約100mm、深さ約100mmほどの溝を掘る
  2. 燻炭と炭を入れる
  3. バールで深さ約500mmほどの点穴を1000mm前後の間隔で掘り、燻炭と炭を入れて藁を数本入れる
  4. 篠竹(現場で調達)を点穴に2本から3本入れる
  5. 篠竹の周りに笹の葉(現場で調達)を回し、フィルターをつくる
  6. 溝に枯草を敷き込む
通気浸透水脈づくり

・植栽植え

・島の高さを上げるための泥上げ

・しがらで土留

  1. 敷地内でしがら(枝葉)を調達
  2. 段を切って段の端に炭を差し込む
  3. しがらを互い違いに組んで土留をつくる

2021年5月2日

・植栽の根上りの押さえ

  1. 他の箇所で出た土を有効利用し根の周辺に敷き詰める
  2. 竹串で根を抑える
  3. しがらみを互い違いに組んでいき、囲いをつくる(高さは土の高さを超えないようにする)

雑感、分かったこと、気づいたことなど

・つくり終えてから、気持ちのいい風が流れてきた

・その場にある材料、廃材などで環境再生ができる(枝、落ち葉、竹、コンクリートがらなど)
・新しい維持の仕方が必要

結、住民、訪れる人のコミュニティが必要

お寺が管理しながらも地域住民が関わる場に

・一石n鳥の効果がある

ご飯がおいしくなる。自らの手で環境を改善しているという気持ちと実際によくなっていく姿を体感し、気持ちがいい。身体を動かし、健康的。空気や水の流れが再生し、小鳥や生き物にとって心地よい環境になる。

・昔は信仰、環境維持、農業、林業、建築、家、作業、生活、文化がつながっていた

神社仏閣はただの祈りの場ではなかった。お寺は昔は人の悩みを聴く場でもあった。

・旧約聖書

人間は土を耕すために土からつくられた。そして土に還る。

イノシシが停滞している場所を掘るように、本来は人間も土を耕しその土地をよりいい場所にする存在。

建築のあり方もそうであった(つくることで森を育て、土地を浄化し、自然やいのちの循環を促進する)

生命はそれぞれ役割がある。天はそれをデザインした。

・自然と対峙するには作法があった

お茶も環境も建築も自然と対峙する作法であった。

・コロナの今だからこそ

土を耕すこと、環境再生、農、茅葺き。聖書にも書かれている。歴史(his story)に書かれている。地球の声。

・藪が再生すると蚊もいなくなる

澱んでいるから蚊が出てくる。つる系の植物も繁茂し、木を枯らしていく。それは自然が植物の力で時間をかけて、つる系の植物によって生い茂って風や光を遮っている植物を徐々に枯らし、風や光を入れる空間をつくる働き。

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