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Thatched roofing for a house in Keihoku 2

お盆前の葺き替えと茅葺きバーベキュー

昨日は近所でお手伝いさせていただいている現場の葺き替えのお盆前最終日で、できるところまでやって、施主の方の親戚がお盆に帰って来る時に一番目に入る面の7割くらいまで終えることができました!

最近もまだまだ暑い日が続いていますが、風は涼しくなり、屋根の上で風を受けると気持ちがいい季節になってきました!

今回、差し茅でやっていく予定でしたが、雨風によって茅も減っていたので、古い茅を抜いて新しい茅を入れていき、竹で押さえて、縫ってとほとんど葺き替えに近い作業になり、予定よりも時間がかかることになったようですが、それでもお盆前にここまでできてよかったです(^^ゞ

きっと施主の方のご先祖様も喜んでくれるだろうと親方と話していました。

今日は美山で茅葺きを愛する人たちでバーベキュー。

みんなで、茅葺きに興味をもったきっかけや想いなどを語らいました。

美山茅葺のみなさま、ありがとうございました!

古民家族という武庫川女子大のサークルのみなさんも集まって、みんなでワイワイ楽しい夜になりました!

古民家族では古民家を改修しながら、自分たちで茅を刈って、小麦も育てて(麦わらも茅の一つですが、自分たちで屋根の葺き替えに使っているそうです)、葺き替えをして、ピザ窯も自分たちでつくってといろいろと活動をしているそうです。

生活環境学科というところで、建築や都市計画、家具、グラフィックデザインなどいろいろと学んでいるそうです。茅葺きは論文でもまとめたのですが、建築、古民家としてだけではなく、ランドスケープ、都市計画、地域計画、プロダクト、生態系、歴史、文化人類学、医学、農林水産、いろんな分野を総合的に学べる総合学問でもあると考えて、将来的に教育としてもつくっていきたいと考えてきたので、実際にそうした学科の学生さんが茅葺きをしているということを聴いてとても嬉しかったです☆彡

昨日は親方と大嘗祭の話もしていました。

大嘗祭とは、天皇が即位される年に行われる新嘗祭のことで、日本でもっとも重要な儀式とされています。今の形になったのは、飛鳥時代の持統天皇の頃からと言われ、約1300年間、茅葺屋根でつくられた悠紀殿、主基殿などからなる大嘗宮という建築で行われてきました。
儀式という書物にも大嘗宮は黒木の柱で立て、茅で屋根を葺くべしと書かれているのですが、残念なことに2019年の大嘗祭ではいろんな要因で板葺きとなってしまい、1300年続いた伝統が途絶えてしまいました。
京北は平安遷都以降、代々、大嘗宮の御用材を出してきたという歴史があったり、自分が京北に最初に来た時も2019年の大嘗祭の期間中だったということもあり、関心をもっていました。

茅葺きは実際に入ってみると、断熱性能も高く、音を遮るので、外界の刺激を和らげる効果もあります。ひと昔前は携帯の電波も入りにくかったと言います。
大嘗祭では、天皇は神と一晩、寝食をともにして、神の力を得て、天皇としての力を得る儀式とされています。
飛鳥時代には板葺きもあったし、瓦葺きや檜皮葺きもあったし、屋根はなんでもよかったはずですが、あえて、茅葺きとした理由の一つはそうした外界からの情報をいくぶんか遮って、神の力を感じるというところにあるのかもしれません。
伊勢神宮は今でも茅葺きですが、他の神社仏閣も昔は茅葺きが多かったと言います。

また、もう一つの理由としては、稲作、養蚕とセットで茅葺きが日本の国づくりに欠かせない大きな要素であったというところにあると思います。毎年収穫でき、一方はお米として食べ、一方は茅として屋根材になる。
その中では蚕を育てられるという、衣食住を支えるものが稲作であり、養蚕であり、茅葺きであったのだと思います。

最近、京北で蚕を飼育している方に蚕を観せてもらい話しを聴いていくと、蚕はデリケートで涼しく、少し薄暗い環境でなければ育てられないと言います。
茅葺きの中はまさにそれにあった環境だったからこそ、美山も京北も、白川郷も五箇山も日本全国で昔、茅葺屋根で養蚕が行われていたのだと思います。

すべてつながっていて、理にかなっているというのが、昔の人がやってきたことのいい面だなと今まで考えてきました。

他の屋根のあり方にはないほど、民家から茶室から神社仏閣から天皇家が儀式で使ってきた建築から、幅広い用途で使われてきた茅葺きは、人によっても、興味をもつポイントも、関わっている点(職人としてだけでなく、研究者として、設計者として、再生活動をしている人として、住まい手として、保存活動をしている人として、観光で訪れたり利用したりする側として・・・)も多様で幅広く、それが茅葺きの大きな魅力の一つでもあると改めて思いました。

8月末からは北海道のチセというアイヌの人々がつくり、住んできた家の葺き替え研修に出かけてきます。
その後は9月にオランダで開かれる国際茅葺き大会に参加してきます。

茅葺きは世界中に伝統的な住居としてあり(自分が調べた中では五大陸すべてと周辺の島々も)、オランダをはじめヨーロッパや南アフリカでは現代建築としてさかんに新しい茅葺き建築がつくられています。

京北でもまた秋に茅刈りを行い、近いうちに茅葺きの茶室や現代版の茅葺きモデルハウスをつくりたいと考えています。

その他、より身近に茅のいい点に触れ、理解を深められるように、茅の小さなプロダクトなども製作中です。

みなさまも興味をもったところから茅葺きに触れてみてください!

茅葺きのいいところを簡単にまとめた資料も写真でのせておきますので、ご関心ありましたら観てみてください!(英語版も載せておきます)

これからも、茅葺きを一つの軸に、総合的な分野を統合しながら、自然や多様ないのちと人が調和して平和に暮らしていける地球環境をつくれるように、そのための国土、都市、ランドスケープ、建築、プロダクトづくり、提案をしていきたいと思います。

 

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