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大分県日田市、福岡県うきは市の茅葺屋根調査

昨日、福岡空港に着いてから21日の茅葺フォーラムまでどう時間を過ごすか考えて、地図を観ていたら前に安藤先生(茅葺屋根研究の第一人者であり、大先輩であり、研究でお世話になっている方)に教えてもらった茅葺の上に杉皮を葺いている特殊な両葺きをしている日田という地域がそんなに遠くないところにあることを発見。

茅葺きはその場所の環境にもよるが、だいたい20年前後の葺き替えが一般的のところ、この杉皮をコーティングした両葺きだとその4倍くらいもつらしい。杉があまりあまっている京北や美山にも応用できるもので、安藤先生にも日田の職人さんに京北美山に来てもらって葺き方を教えてもらえればいいのではとアドバイスを去年もらっていた。実際に自分の目で観てみたいと思っていた。

さっそく宿とレンタカーを手配し、現地に向かい一泊することに。
今日は朝から一日、大分県日田市、福岡県うきは市周辺の茅葺屋根を訪ねてまわった。ノープランで弾丸だったが、知人に教えてもらったり、ネットで調べて、いろいろまわることにした。

宿の近くに茅葺屋根があると宿の人に教えてもらい、玄関先から観ていると、ちょうど人が出てきた。「すみません、茅葺屋根の研究をしている者ですが~」と話しかけて、こころよく応えてくれて、家にまであがらせてもらって2時間ほどずっと茅葺や林業、政治や経済、地方と中央など、いろんな話が展開された笑森林組合の理事も長くやられてきた方で、話していると地元の雄のような方だと思う。アポもなしにぽっと現れた人に親身に話してくれて、何かあったら協力するので言ってくれとも言われて、とても光栄なこと。今までもこういう展開は旅先で結構多く、旅の醍醐味でもあるし、あまり認識してなかったけど、ひょっとしたら数少ない自分の得意能力なのかもしれない・・・。この前も北山杉の発祥の地の雄の方とぽっと出会って家に招かれて2時間ほど話していた・・・。

マニアックな内容でもお互いに間髪入れずに話が続くのはとても楽しく、共感できて、初対面なのに心と心が通じているような感じがして、なんだかご縁というか天の恵みというか嬉しくなる。1分でも早く、遅くここに着いていたら出会えてなかった。そういう出会いの連続が今の自分をつくっていると言っても過言ではない。帰りに日田名物のお土産までいただいてしまった。

事前に調べて旅をすることも調査をすることもできるけど、それ以上の歓びがノープランな旅にはあるのかもしれない。

その後は、福岡県うきは市にある「平川家住宅」に。くど造りという特殊な分棟型の屋根でかわいい感じ。その近くにある「つづら棚田」は日本のマチュピチュかと思わせるような景色だった。

まわりきれずにまた日田に一泊し、明日、熊本へ向かう。

今日、改めて思ったのは、茅葺きが好きな人はみなやさしく、しかも話がおもしろい!ということだった。

いのちと自然と人と地域のつながりと循環をつくり出す茅葺きは世界を救うのかもしれない。



大分県日田市にある茅葺屋根

ここは林業がさかんで杉の皮が大量に取れ、その有効利用のために戦後、茅葺屋根の上に杉皮を葺いて耐久性を高めることをやってきた地域。地域の資源の有効利用と屋根の耐久性向上という一石二鳥の屋根のつくりである。これは全国の茅葺屋根の救世主として使える知恵かもしれない。

福岡県うきは市にある平川家住宅

くど造りという特殊な形式の屋根。分棟型だが、互いに空間はつながっていたりする。屋根と屋根の間には雨どいがある。この日もやや強い雨が降っていたが、まったく雨どいに流れてくるような雰囲気はなかった。茅葺屋根は雨をも吸収し勢いよく地面に流れる雨を和らげてくれる。

屋根と屋根の間にある雨どい

天井はかまぼこのように湾曲していて、竹が一面に敷いてある
外側から1/5ほどのところに杉皮が挟まれている。外側の茅と杉皮で雨を完全におさえ、内側の茅を守り、耐久性向上のためと考えられる

日本のマチュピチュのような景色を醸し出している福岡県うきは市のつづら棚田

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